「大きな家を建てたいけど、予算を考えると手狭になってしまう・・・」
というケースも多いのではないでしょうか。
しかし、それほど大きくない限られた土地に家を建てるとしても、
間取り次第で広く大きく感じさせることも可能なのです。
狭くても間取り次第で工夫できる理由
一般的に「建坪が20坪以下」「延床面積が約70平米」の住宅を
「狭小住宅」と呼びます。
狭小住宅が狭く小さく感じるのは、1つ1つの部屋が狭くて圧迫感があるからです。
開放感を演出することで圧迫感を無くし、
1つ1つの部屋が大きく広く感じられるようになります。
間取りを工夫すれば狭小住宅であっても開放感を出すことは可能で、
大きく広くゆったりと過ごせる空間が作れるのです。
狭い家を広く見せる間取りの工夫
では、実際に狭小住宅が大きく広く感じられる間取りの工夫の仕方を
詳しく見ていきましょう。
仕切り壁を作らない
狭小住宅に大きく広くゆったり過ごせる空間を作るには、
「仕切り壁」を極力作らないことです。
部屋を作るのに仕切り壁は必要ですが狭小住宅で仕切り壁を作ると、
圧迫感が出てより狭く小さく感じてしまいます。
また壁があることで外の光が入りにくくなってしまうこともあり、
家の中が暗くなることでより狭さが強調されてしまうのです。
できるだけ仕切り壁を作らずに1つの大きな空間とすることで、
狭さを感じない広くゆったりした感じが演出できます。
仕切り壁を作るのは寝室や子供部屋などプライバシー空間のみ、
それ以外の共有空間には壁を作らないことでそれほど狭く感じなくなります。
天井を高くする
狭小住宅では「天井を高くする」ことも、家の中を広く感じさせる工夫の1つです。
横に空間を広げるのには物理的に限界がありますから、
縦に空間を広げることで開放感を演出するわけです。
例えば吹き抜けにして上下のフロアを繋げて天窓や高窓を設置、
高い位置から光が降り注ぐことで家の中全体が明るくなって広く見えます。
吹き抜けにしなくても、天井に勾配をつけるだけでも縦方向に空間が広がって
開放感が生まれます。
水平方向がダメなら垂直方向、
と視点を変えるだけでも狭小住宅を大きく広く見せることは可能なのです。
中庭を作る
「中庭を作る」というのも、狭い家を広く見せる工夫の1つとなります。
一般的には、
都市部の住宅街に家を建てる場合に狭小住宅となってしまうケースが多いです。
周辺に住宅が密集しているため日当たりや風通りが悪く、
家の中に光も風も入らないのでより狭く感じてしまいます。
住宅密集地で隣の住宅との距離が近いので、
光や風を取り込むための大きな窓も設置しにくいです。
そこで中庭を作って庭に面する大きな窓を設置することで
光と風が家の中に取り込めて、圧迫感を無くしてくれます。
中庭があることで建物の中に「抜け」ができるので、
開放感が生まれて家の中が広く感じられるのです。
中庭に花木を植えておけば、
季節の移ろいを感じられて心理的なゆったり感も生まれます。
デッドスペースを収納スペースに
狭い家を広く見せるには、
「デッドスペースを収納スペースにする」という工夫の仕方もあります。
普段生活をしていると気付きにくいですが、
家の中にも意外なほど多くのデッドスペースが存在しているのです。
そのデッドスペースを活用することで、
チェストやキャビネットを置かなくても収納スペースが確保できます。
代表的な住宅のデッドスペースと言えば「階段下」、
今や階段下に収納を設けるのは当たり前となっています。
あとは床下や天井裏も収納スペースとして活用でき、重たい物は床下、あまり
使わない物は天井裏と収納する物を分けることでスペースを効率的に使えます。
キッチンの冷蔵庫と食器棚の間の隙間などもデッドスペースとなりがちで、
収納スペースとして活用できれば家の中を広く使うことが可能です。
家を建てる段階でデッドスペースになるであろう場所に、
あらかじめ収納家具を設置しておくのも良いかもしれません。
スキップフロアの設置
「スキップフロア」を設置することで、
家の中に立体感が生まれて視覚的な広がりを感じられます。
例えば、ダイニングとリビングで床の高さを変えたり、
1階と2階の間に中2階を設けるなどといったことです。
床の高さを変えると立体感が出て実際以上に奥行きが感じられますし、
壁を作らなくてもダイニングとリビングを区切れます。
中2階を作ると、2階建てなのに3階建てのようになって縦にスペースが広がり、
実際の面積よりも広く感じられるのです。
また床の高さを変えてできた段差や中2階は収納スペースとしても活用できます。
水回りの配管をまとめる
水回りの「配管」をまとめれば、空間の無駄が省けて狭小住宅を広く使えます。
具体的には
・浴室
・洗面所
・トイレ
・洗濯機の設置場所
といった水を使う場所を1つのフロアにまとめてしまうのです。
水回りが各フロアにあるとそれぞれに給排水の配管を設置しなければならず、
スペースの無駄遣いとなります。
水回りを1つのフロアにまとめることで給排水の配管も1つにまとめられて
デッドスペースが無くなり、リビングなどの生活スペースが広がるというわけです。
お風呂やトイレを使うのに階段を上ったり下りたりするのは不便ですが、
狭小住宅を広く使うための工夫の1つです。
狭小住宅のメリット
狭小住宅で快適に生活するには工夫が必要ですが、
狭小住宅にはメリットもあります。
1つは何と言っても「利便性が高い」ということです。
地価の高い都市部でも狭小住宅であれば、
比較的安く土地が買えるので家を建てる費用が抑えられます。
都市部は交通の便が良いので通勤・通学に困りませんし、周辺には
・商業
・医療
・教育
・娯楽
といった生活に必要な施設が揃っています。
大体のことは自宅周辺で済ませられるので、
通勤・通学以外にはほとんど交通費がかかりません。
税金や諸経費が抑えられる
土地・建物を取得すると発生する固定資産税や土地・建物を取得する際に
必要な諸経費が、狭小住宅だと抑えられます。
固定資産税は土地と家屋それぞれの課税標準額に1.4%をかけた金額ですが、
狭小住宅だと減免措置が受けられます。
200㎡(約60坪)以下は小規模住宅用地となり、
固定資産税の課税標準額が6分の1で計算されるのです。
また都市部に家を建てた場合は都市計画税も発生しますが、
こちらも小規模住宅用地だと課税標準額が3分の1となります。
土地・建物を取得する際の登記などにかかる諸経費も、
基本的に土地の面積で計算されるので狭小住宅だと金額が小さくなるのです。
狭小住宅のデメリット
狭小住宅にはメリットもありますがデメリットもあります。
1つは先に紹介したように、
間取りを工夫しないことには生活スペースが狭くなってしまうことです。
狭小住宅を広く使うために間取りを工夫するとなると、
設計に手間と時間をかけることになって建築費用が嵩む恐れもあります。
バリアフリーにできない
狭小住宅はバリアフリーにすることが難しいです。
横に空間を広げることは物理的にできませんから、
狭小住宅では必然的に縦に空間を広げることになります。
狭小住宅では3階建てにするケースも多いですし、
地下室を作ることも珍しくありません。
1日に何度も階段を上り下りしなければなりませんから、年齢を重ねるごとに
フロアの移動がキツくなって生活に不便さを感じるようになるのです。
狭小住宅を終の棲家とすることは難しく、
高齢になったら住み替えを考えなければいけないのは大きなデメリットです。
まとめ
狭い土地に建てるいわゆる狭小住宅でも、
間取りを工夫すれば広くゆったりと生活することができます。
狭小住宅を得意とするハウスメーカーもありますから、
狭くても快適に暮らせる世界一の家を建ててください。