家づくりで重要なのは「どんな家を建てるか」でも「どのハウスメーカー・工務店を
選ぶか」でもなく、「どんな人生を過ごしたいか」です。
この先、家族やマイホームとどのような人生を過ごしたいかを考えることが
家づくりの第一歩となります。
家づくりは人生設計そのもの
家づくりは「人生設計そのもの」と言えます。
一般的なビジネスパーソンの生涯年収は2億円程度で、
新築住宅の平均価格は大体3500~5000万円ぐらいです。
要するに、
生涯年収の4分の1ほどのお金を使ってマイホームを建てることになるのです。
生涯に何軒も家を建てる大金持ちも居ないことはありませんが、
生涯でマイホームを建てるのは1度というケースがほとんどとなっています。
生涯年収の約4分の1に当たる多額のお金を使って、
たった1軒のマイホームを建てるわけです。
失敗したからと言って簡単に建て替えることはできませんから、
やり直しができないという点でも家づくりと人生は似ています。
これから先何十年と暮らすマイホームを適当に建てることはできませんし、
人任せにもできません。
真剣に向き合って1つ1つ自分で決断しなければならないのも人生と同じで、
まさに家づくりは人生設計そのものなのです。
これから先の人生がどうなるか
家づくりをする際には、いきなり具体的な行動に移るのではなく、
まず「これから先の人生がどうなるか」を考えなければいけません。
現状で独身なのであれば、
今後結婚して子供ができて家族が増えるといったことも考えておく必要があります。
既に結婚して子供が居るなら、
子供の成長や進路が家づくりに欠かせない要素となります。
また自分が一人っ子である場合は、結婚するしない子供が居る居ないに関わらず、
将来的に親との同居も考えておかないといけません。
結婚して子供ができて家族が増えることを想定すると、
夫婦の部屋に子供部屋も必要ですからある程度の部屋数が求められます。
子供の成長や進路を考えると、周辺に公園など遊ぶ場所はあるか、
学校に通うのに不便はないかなども考えておく必要があります。
一人っ子で将来親と同居するなら、
二世帯住宅にリフォームすることも考えておかないといけません。
これから先の人生における家族の有無や家族の数といったことも、
家づくりでは重要な要素となるのです。
収入と出費
現在の収入と出費に加えて、これから先に得られるであろう収入と
発生するであろう出費についても考えておく必要があります。
家を建てるにはお金が必要、しかも生半可な金額ではなく
生涯収入の約4分の1をかけてマイホームを建てることになります。
宝くじが当たるなど多額の臨時収入でも無い限りは、
全額キャッシュで家を建てることは難しいです。
一般的に家を建てる時にはローンを組みますから、現在の収入や
これから先に得られる収入について考えておかないといけないわけです。
自分や家族が生きていくためにお金を使うので、現在発生している出費と
これから発生するであろう出費も計算する必要があります。
生活スタイルに合った建築プラン
これから先の人生設計を考えておくことで、自分の生活スタイルが明確となって
家づくりにおける建築プランもある程度見えてきます。
例えば結婚していて共働きの場合、毎日買い物に行くことは難しいので
週末にまとめ買いしていることも少なくありません。
まとめ買いした食材や日用品を保管しておくために、
パントリーや物置などの収納スペースの設置が求められます。
ファッションが好きで服や帽子、鞄など服飾関連製品を集めているなら、
ウォークインクローゼットが必要となります。
キャンプが趣味でアウトドアグッズを持っている場合には、
大きめのモノが収納できる広めのスペースを作っておかないといけません。
自分の生活スタイルが明確になることで、漠然とではありますが、
建築プランの骨格のようなものも見えてくるのです。
家づくりにかかるお金
自分や家族のこれから先の人生を考えたら、
次はもう少し具体的に「家づくりにかかるお金」について考えます。
先に計算した現在とこれから先の収入・出費から、
家づくりにかけられる大体の「予算」が見えてきているはずです。
ただ家づくりにかかるのは「土地と建物」の取得費用だけではありません。
建てた家で実際に生活するためには
・電気
・ガス
・水道
といったライフラインの整備が必要です。
取得した土地の状態によって地盤改良工事、
土地が接する道路の状況によっては道路を広げる工事が必要となります。
土地の取得や家を建てる以外に必要な付帯工事にかかる費用も、
家づくりの予算に含めておかないといけません。
付帯工事をどこまで行うかで金額が変わりますが、
家づくりの予算の15~20%ぐらいはかかると思っておくと良いでしょう。
例えば家づくりの予算が4000万円だとすると、
そのうちの600~800万円は付帯工事にかかるということです。
諸経費
土地の取得や家の建築費、付帯工事費以外にも
諸々の経費が家づくりにはかかってきます。
土地の取得には名義変更、家を建てるには建築許可などの申請が必要で、
それぞれに費用がかかります。
申請そのものにも必要がかかりますし、
行政書士などに代行してもらう場合には代行費用が別途必要です。
ローンを組むとなれば保証金や手数料も発生しますし、
いざ工事が始まるとなると地鎮祭や棟上げ式などの費用もかかります。
家が完成して入居する段階になるとご近所さんへの挨拶用菓子折りも
用意しないといけませんし、家で使う家具や家電も購入することになります。
こうした諸々の経費は予算の5~10%程度、
金額にすると予算4000万円の場合は200~400万円かかることになるのです。
先の付帯工事費と合わせると1000万円近くになりますから、予算4000万円だと
土地の取得と家を建てるのにかけられるのは実質3000万円程度となります。
ランニングコスト
マイホームは建てたら終わりではなく、
これから先の数十年を快適に暮らすには「ランニングコスト」が発生します。
土地と建物には毎年固定資産税がかかってきますし、
マイホームがあるエリアによっては都市計画税も納めないといけません。
固定資産税は土地・建物の評価額の1.4%程度、
都市計画税は評価額の0.3%程度です。
災害に備えて火災保険や地震保険に加入すると保険料も発生します。
さらに年月を経るとマイホームの至るところが痛んできますから、
・外壁、屋根の塗装
・内装のリフォーム
・水回りの修繕
なども必要となります。
マイホームを維持するのに必要なランニングコストも、
これから先に発生するであろう出費に加えておかないといけません。
ローンの算段
お金の関係で言うと、家づくりで一番大きいのが「ローン」です。
現在の収入やこれから先に得られるであろう収入を計算したのは、
収入によってローンで「借りられる金額」が決まるからです。
より多くの金額を借りられるから良いというわけでもなく、
借入金額が多くなると利息も嵩みます。
例えば3000万円のローンを10年固定金利(1.2%)、
30年返済で組んだとすると、支払総額は約3580万円となります。
3000万円の借り入れに対して600万円近い利息を払わないといけません。
家づくりでローンを組む時に気を付けないといけないのは、
ローンの審査における「年収」は総額で計算されるということです。
所得税や社会保険料などを差し引いた手取り額ではなく、
税引き前の総額で金融機関は「貸せる金額」を算出するのです。
税引き前の年収を元にローンを組むと、当然ですが返済が苦しくなります。
ローンを組む時は、所得税や社会保険料などが引いた金額を考えて、
無理のない返済額になるようにしないといけません。
こうしたローンの算段をするには、事前に収入や出費をしっかり計算しておき、
税金についても勉強しておく必要があるのです。
まとめ
マイホームは建てる前も建ててからもお金がかかりますから、
家づくりを始める前にしっかりとお金の算段をしておかないといけません。
着工したら大幅な変更もやり直しもできず、
まさに家づくりは人生設計そのものと言えるのです。
「年齢的にそろそろ」とか「周りも建てているから」などといった理由で
家づくりを行うと、家を建ててから後悔することになります。
人生設計だと思って、
事前にしっかりと計画を立ててお金の算段もしてから家づくりを始めましょう。